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技術コラム

  • 2026.06.27

    ショットブラスト

    アルミ・アルミダイカストのショットブラストが難しい理由と2つの解決策

    群馬県伊勢崎市で、高品質・低コストのバリ取り加工を行っております矢内製作所と申します!

    アルミダイカストショットブラストをかけたら、表面が黒ずんでしまった

    「鉄と同じ感覚で発注したら、仕上がりが全く違った」

    そのような経験をお持ちではないでしょうか。

    実は、アルミは鉄やステンレスと素材特性が大きく異なるため、ショットブラストの難易度も根本から違います。

    この記事では、アルミ特有の難しさを鉄・SUSとの比較で整理し、失敗を防ぐための「メディア選定」と「条件出し」という2つのポイントを解説します。

    矢内製作所ではアルミダイカストを含む多種多様な金属のバリ取り・表面処理を手掛けております。お見積もりのご相談など、お問い合わせはお気軽にどうぞ。

    アルミのショットブラストはなぜ難しい?鉄・ステンレスとの素材比較

    3素材の主な物性を比較すると、アルミの加工難易度が際立っています。

    項目鉄(スチール)ステンレス(SUS)アルミ(ダイカスト)
    ビッカース硬さHV120〜200HV150〜200HV60〜80
    熱伝導率中程度低い非常に高い
    融点約1,500℃約1,400℃約660℃
    投射圧への耐性高い高い低い


    鉄(スチール)との比較:硬さと投射圧への耐性の違い

    鉄は硬度が高く、強い投射圧にも耐えられるため、高圧・短時間での大量処理が可能です。

    一方、アルミはその半分以下の硬さしかなく、同じ条件で処理すると変形や打痕が生じます。

    この「柔らかさ」こそが、アルミへのショットブラストで最も慎重に扱うべき特性です。

    ステンレス(SUS)との比較:熱伝導率と酸化・変色のしやすさ

    SUS熱伝導率が低く、加工中の温度上昇を抑えやすい素材です。

    対してアルミは熱が表面に伝わりやすく、融点も約660℃と非常に低いため、ショットブラスト時の摩擦熱だけで酸化・黒ずみ(焼け)が発生します。

    低融点という特性が、SUSにはない独特の難しさをもたらします。

    「柔らかく熱に弱い」アルミダイカスト特有の加工難易度

    アルミダイカストは「柔らかい」「熱に弱い」という2つの特性が重なっています。加えて、ダイカスト製法特有の内部空洞(巣穴)があるため、削りすぎると巣穴が表面に露出し、外観不良を招きます。

    これらが複合することで、鉄やSUSとは異なるレベルの加工管理が求められます。

    ショットブラストの基本的な仕組みについては、『ショットブラストとは?基本原理から効果・メリットまで解説』の記事でもご覧いただけます。

    鉄・SUSと比較してわかるアルミへのショットブラストの長所と短所

    アルミの難しさを踏まえたうえで、あえてアルミショットブラストを行うメリットとデメリットを整理します。

    短所(ネガティブ):変形やメディアの食い込み・電食のリスク

    【主なリスク】

    ・変形・打痕:柔らかい表面が投射圧に負けて凹む
    ・メディアの食い込み:鉄粒子が刺さり、腐食を招く
    ・電食(異種金属腐食):鉄との接触で腐食が進む

    いずれも、メディアの材質と投射条件の管理が不十分な場合に発生するリスクです。

    長所(ポジティブ):梨地の美観向上と劇的な密着性アップの実現

    正しい条件で施工できれば、アルミへのショットブラストは大きな付加価値をもたらします。

    【主なメリット】

    ・梨地仕上げ:鋳造ムラや傷を目立たなくする
    ・密着性の向上:塗装・メッキが剥がれにくくなる

    難しい工程だからこそ、仕上がりへの付加価値が大きいです。

    難しいアルミのショットブラストを成功に導くポイント

    では、これらのリスクを踏まえ、どう対処すればよいのでしょうか。
    失敗リスクを抑え、長所を引き出すための2つの解決策を紹介します。

    アルミを傷つけない2つの解決策:「メディア選定」と「条件出し」

    【1つ目の解決策:専用メディアの選択】

    鉄製メディアは使用しないことが大原則です。アルミに鉄粒子が接触すると電食(異種金属腐食)が起きるためです。

    アルミ製(直径0.8mm)またはステンレス製(直径0.5mm)の専用メディアを選ぶことで、電食を防ぎながら表面を傷めずに処理できます。

    【2つ目の解決策:秒単位・角度単位での条件出し】

    製品ごとに投射条件を細かく設定することが不可欠です。
    形状や肉厚がわずかに違うだけで変形や黒ずみが生じるほど、アルミは繊細な素材だからです。

    投射時間・速度・角度を秒単位・角度単位で調整することで、各製品に最適な仕上がりを実現できます。

    難しいアルミのショットブラストを矢内製作所に任せられる理由

    矢内製作所は、アルミダイカストの加工を長年手がけており、この記事で紹介した「専用メディアの選択」と「製品ごとの条件出し」を日々の現場で実践してまいりました。

    この長年のノウハウに加え、バリ取りからショットブラストまでを一貫して手がけているため、塗装・メッキを前提にしたワンストップの下地処理が可能です。

    アルミダイカストのバリ取り加工については、『トリミングプレス加工とは?メリット・注意点、他工法との違いを解説』の記事でもご覧いただけます。

    まとめ

    この記事では、アルミショットブラストが難しい理由と、成功に導く2つの解決策について解説しました。

    【難しい理由】
    アルミは鉄・SUSより柔らかく、変形・打痕が生じやすい
    アルミSUSと違い、熱に弱く、黒ずみが発生しやすい

    【2つの解決策】
    ・解決策①:アルミ製・ステンレス製の専用メディアを選ぶ
    ・解決策②:投射時間・速度・角度を製品ごとに細かく設定する

    アルミへのショットブラストは、素材特性への深い理解と現場ノウハウが不可欠な工程です。

    矢内製作所では、長年の実績をもとに後工程まで見据えた最適な条件をご提案します。

    ご検討の際は、ぜひ矢内製作所にお気軽にご相談ください