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技術コラム

  • 2026.06.12

    バリ取り

    ダイキャストのバリレスは可能?原因と対策・プロの技術を解説

    「バリ取りに手間とコストがかかりすぎる」
    「品質が安定しない」

    ダイキャスト製品のバリ対策は、製造現場の大きな課題です。

    成形時にバリを完全に発生させない状態にすることは難しいのが現実ですが、適切な対策とプロの技術を活用すれば、バリレスに近い状態を実現できます。

    この記事では、バリ発生の根本原因と最小限に抑える3つの対策、さらに矢内製作所が誇るバリ取り技術をご紹介します。

    自社に最適な解決策を見つけるため、ぜひ最後までご覧ください。

    ダイキャスト製品を完全なバリレスにするのは難しいのが現実

    ダイキャスト製品の成形時にバリをゼロにすることは、技術的に非常に困難です。

    そのため、バリが発生する根本的な原因と、放置することで生じるリスクを正しく理解することが、適切な対策の第一歩となります。

    バリが発生してしまう3つの主な原因

    ダイキャスト製品にバリが発生する主な原因は、以下の3つです。

    【金型の熱膨張による隙間】
    高温の溶融金属と接触することで金型が膨張し、合わせ面にわずかな隙間が生じます。この隙間に溶融金属が入り込むことでバリが形成されます。

    【抜き勾配不足によるかじり】
    製品を金型から取り出す際に必要な抜き勾配が不足していると、金型と製品が擦れ合います。この「かじり」現象がバリの原因となります。

    【成形機の型締力不足】
    成形機の型締力(金型を閉じる力)が製品サイズに対して不足していると、射出圧力に金型が耐えきれません。合わせ面が開いてバリが発生しやすくなります。

    これらバリ発生のメカニズムを把握することで、次章で解説する効果的な予防対策につなげることが可能です。

    バリを放置することで起こりうる4つの悪影響

    バリを放置すると、製品品質や作業安全性に深刻な影響を及ぼします。主な悪影響は以下の4つです。

    【隣接部品への干渉】
    バリが残ったまま組み立てを行うと、隣接部品と干渉して正常な取り付けができません。製品全体の精度低下につながります。

    【製品性能の低下】
    バリによって密閉性や嵌合精度が損なわれ、本来の製品性能を発揮できなくなります。用途によっては重大な品質トラブルに発展する可能性があります。

    【バリの脱落による異物混入】
    組み立て後や使用中にバリが脱落すると、異物として機械内部に混入する危険があります。故障やトラブルの原因となります。

    【作業者の怪我リスク】
    鋭利なバリは作業者の手指を傷つける危険性があります。特に手作業での取り扱い時には注意が必要です。

    これら4つの悪影響を避けるため、適切なバリ対策が不可欠となります。

    バリの発生を最小限に抑えるために有効な3つの対策

    ここでは、バリを最小限に抑える対策について解説します。金型設計成形機の選定、定期的なメンテナンスといった効果的な予防策により、バリレスに近い状態を実現できます。

    熱膨張を計算に入れた緻密な金型設計

    バリ発生を最小限に抑えるには、金型設計段階での対策が最も重要です。

    高温の溶融金属が流し込まれると、金型は熱膨張によって膨らみます。この膨張量を事前に計算し、常温時の金型寸法に反映させることで、成形時の合わせ面の隙間を最小限に抑えられます。

    また、製品を金型から取り出す際に必要な抜き勾配を適切に設定することで、かじりの発生を防げます。

    設計段階で熱膨張抜き勾配を適切に考慮することは、後工程でのバリ取りコストを大幅に削減する効果的な方法です。経験豊富な金型設計者との協力が、バリレスに近い製品を実現するために欠かせません。

    製品に合わせた適切な成形機の選定

    バリを最小限に抑えるには、製品サイズに適した成形機の選定が欠かせません。

    製品の投影面積や肉厚、使用する材料の特性を考慮し、十分な型締力を持つ成形機を選定する必要があります。

    また、射出圧力と型締力のバランスを適切に保つことで、金型への負担を軽減しながら安定した成形が可能となります。

    成形条件の最適化には試行錯誤が必要ですが、適切な成形機選定によって、バリの発生を大幅に減らせます。

    定期的な金型メンテナンスとオーバーホール

    どれだけ優れた金型設計と成形機選定を行っても、長期使用による金型の劣化は必ず起こります。

    金型は繰り返しの使用によって摩耗し、合わせ面に微細な隙間やズレが生じます。これが原因でバリが徐々に大きくなっていくケースは少なくありません。

    定期的な清掃と点検を行い、摩耗や変形が見られた場合は早期に修正や部品交換を実施することが重要です。

    また、一定の生産数に達したら、金型を分解して徹底的に点検・修理するオーバーホールを計画的に実施することで、安定した品質を長期間維持できます。

    金型メンテナンスは地味な作業ですが、バリ発生を抑えるうえで欠かせない対策です。

    発生したバリを綺麗に処理するプロのバリ取り技術

    予防対策を講じても、ダイキャスト製品にはどうしてもバリが残ります。そこで重要になるのが、確実かつ効率的にバリを除去する技術です。

    ここでは、矢内製作所が得意とする3つのバリ取り方法をご紹介します。

    安定した品質とスピードを実現するトリミングプレス加工

    トリミングプレス加工は、専用の金型を使ってバリを打ち抜く方法です。量産品のバリ取りに最適な技術です。

    ダイキャスト成形後の製品を専用プレス機にセットし、金型でバリ部分を正確に打ち抜きます。手作業と比べて圧倒的に早く、品質も安定するため、大量生産に適しています。

    矢内製作所ではプレス機を10台保有しており、製品サイズに合わせて最適な機械を選定して使用しています。

    初期投資として専用金型の製作費用がかかりますが、量産品であればコストを十分に回収できる効率的な加工方法です。

    表面処理も同時に行えるショットブラスト・バレル研磨

    ショットブラストバレル研磨は、バリ取りと表面処理を同時に行える効率的な方法です。

    ショットブラストは、高速で投射材を製品表面に吹き付けることでバリを除去すると同時に、表面を均一に整える加工方法です。

    矢内製作所では3台のショットブラスト機を保有し、製品形状やサイズに合わせた投射条件を設定しています。

    バレル研磨は、振動する研磨槽の中で製品とメディア(研磨石)を相互に摩擦させることで、バリ取りと表面仕上げを行う方法です。

    矢内製作所では振動式バレル研磨機を2台保有し、製品に応じて使い分けています。

    これらの方法は、バリ取り後に別途表面処理を行う手間を省けるため、工程短縮とコスト削減につながります。

    複雑な形状にも対応できる熟練スタッフによる手作業

    機械加工では対応が難しい複雑な形状や細部には、熟練スタッフによる手作業でのバリ取りが必要です。

    矢内製作所では、女性スタッフを中心に、きめ細かい手作業によるヤスリ掛けなど、機械では難しい作業を得意としています。熟練の仕上げ職人による質の高いバリ取り技術は、50年以上の実績に裏打ちされたものです。

    試作品や形状が複雑な製品、少量生産品には、手作業ならではの柔軟な対応が品質を保つうえで重要となります。

    まとめ

    この記事では、ダイキャスト製品のバリレスは可能なのか、そしてバリの原因と対策について以下の点を解説しました。

    【要点】
    ・完全なバリレスは困難だが、最小限に抑えることは可能
    ・バリは「金型の熱膨張」「抜き勾配不足」「型締力不足」で発生
    ・放置すると部品干渉、性能低下、異物混入、怪我のリスクがある
    ・予防には金型設計、成形機選定、定期メンテナンスが重要
    ・バリ取りはトリミングプレス、ショットブラスト・バレル研磨・手作業で対応

    バリ対策は、設計段階での予防と発生後の確実な除去の両面からアプローチすることが重要です。

    矢内製作所では、50年以上の経験を活かし、試作から量産まであらゆるバリ取りのご相談に対応しております。ダイキャスト製品のバリでお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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